近年はクラウドの需要が高まり、クラウドがどのようなものかについて次第に認知されるようになってきました。
クラウドの仕様を説明するうえで欠かせないのが仮想化という技術です。
しかし、クラウドと仮想化はどのように違うのかについて、あまり分からないという方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、仮想化とクラウドのそれぞれの特徴や関係性について解説いたします。

仮想化とは

仮想化とは、ハードウェア内で持て余していたリソースを活用し、有用なITサービスを作成可能にする技術のことを指します。
ハードウェアの様々な能力を複数の環境やユーザーの間で分割して利用することで、その能力をフル活用することができます。
ハードウェアであるサーバーを分割し、複数の仮想サーバーを作成することでリソースの無駄を省くことができます。

仮想化の特徴

仮想化の特徴として、まずはシステムの無駄を無くすことが挙げられます。
多くの物理的サーバーは2~3割程度の性能しか使用しておらず、残りの性能は遊ばせている状態になっています。仮想化をすることで遊ばせているサーバーの性能を分散し、別のリソースとして活用、システムの無駄を省くことができます。
仮想化はシステムダウンのリスクを低減させることにも繋がり、1つのサーバーがダウンしてしまった場合でも、他のサーバーへの影響を限定的なもので抑えることが可能です。
また、システムの分割だけでなく統合も行うことができます。これにより、拡張性を高めることが可能になります。ただし、仮想化により1台のサーバーが他のサーバーにいつの間にか影響を及ぼしてしまう可能性があります。容易に複数の仮想サーバーを操作できてしまうため注意が必要です。

仮想化の種類

仮想化には先述したサーバーの仮想化を含めて主に4つの種類があります。

<サーバーの仮想化>
1台の物理的なサーバーを分割し、複数の仮想サーバーを作成して利用することができるようにします。

<アプリケーションの仮想化>
1つのアプリケーションを仮想化することで、複数のサーバーで利用することができるようにします。

<ストレージの仮想化>
1台の物理的ストレージディスクを分割し、複数のストレージディスクを作成し利用できるようにします。

<ネットワークの仮想化>
1つのネットワーク回線や機器を仮想化し、複数のネットワークを構築し利用することができるようにします。

クラウドとは

クラウドとは、インターネットなどのネットワークを介して様々なサービスを利用するシステムのことを指します。
Webブラウザから操作できるシンプルで使いやすいサービスです。クラウドは、ユーザーがソフトウェアやストレージを用意しなくても利用できるため、サービスについてユーザー側が意識して利用する必要がありません。

クラウドの特徴

クラウドはサービス提供事業者がデータセンターにサーバーを用意しているため、自社でサーバーを用意する必要がありません。そのため、ソフトウェアのアップデートやメンテナンスといった管理業務を行う必要もなくなります。また、インターネットに接続できる環境であれば、どこにいてもサービスを利用することができます。時間や場所、デバイスを選ばずに利用できるため、利便性の高いサービスであるといえます。

クラウドの種類

クラウドは大きくわけて3つの種類に分けることができます。

<SaaS>
インターネットを介してサーバーを利用できるクラウドサービスです。

<PaaS>
インターネットを介してアプリケーションを作動させるためのハードウェア、OSなどのプラットフォーム一式を揃えることができるクラウドサービスです。

<IaaS>
OSやCPUといったインフラ性能をインターネット経由で利用できるクラウドサービスです。

仮想化とクラウドの関係

次に、仮想化とクラウドの関係について説明していきます。

仮想化とクラウドの違い

仮想化とクラウドの一番の違いは形態の違いです。
仮想化はシステムのリソースを無駄なく利用するための「技術」であり、クラウドはネットワーク回線を介して利用できる「サービス」です。

仮想化とクラウドの関係性

仮想化の技術を利用することでクラウドサービスが十分に活用できるようになります。
たとえばオンライン上でクラウドサービスにてデータを保存・共有する場合、仮想化されたサーバーを利用して使用します。複数人が同じアプリケーションをクラウド上で使用する場合も仮想化されたアプリケーションを利用しています。このように、クラウドは仮想化技術が発展し、実用化されたサービスであるといえます。

まとめ

クラウドは仮想化技術が発展し実用化されたサービスです。そのため、仮想化がどのような技術なのかをしっかりと理解しておくことで、クラウドへの理解をより深めることが可能になります。今後、更に発展していく可能性があるため、注目しておくべき技術であるといえます。

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