「契約書を電子化して保管できるの?」「契約書の電子化にはどんなメリットがあるんだろう?」今まで紙の契約書で取り交わしを行ってきた企業にとって、電子化に対する不安は当然あるものです。
この記事では、契約書電子化のメリットや保管方法、法律について解説いたします。

契約書の電子化はメリットがたくさん

契約書の電子化には、コスト削減やペーパーレス化といった効果があります。それぞれ詳しく解説いたします。

収入印紙が不要

印紙税法により、紙の契約書は収入印紙による納税の義務があります。金額は契約書に記載されている金額によって異なりますが、例えば100万円の契約金額なら1,000円の収入印紙を貼らなくてはいけません。
日々多くの契約書を取り交わす企業にとって、紙の契約書に貼る収入印紙は大きなコストになります。しかし収入印紙による納税義務が発生するのは紙の契約書が対象であり、電子契約書は納税義務が発生しません。
コスト削減の観点でも、契約書の電子化は大きなメリットがあります。

ペーパーレス化で保存場所に困らない

日本では2000年からIT戦略を進めており、その一環でペーパーレス化が推進されています。また業務の効率化や環境保護という効果もあるため、多くの企業でペーパーレス化が意識されています。
契約書を電子化すれば当然「紙」が減らせるので、ペーパーレス化にもつながるのです。取り決めの内容が複雑な契約書ほど枚数が増えるため、常時枚数の多い契約書を取り交わしていた企業にとって、契約書の電子化は大きなメリットとなるでしょう。
また、紙の契約書と違って電子契約書は保管場所が必要ありませんし、盗難や災害による消失のリスクもありません。

電子化した契約書の保存方法と注意点

契約書の電子化では、保管方法にも気を付けなくてはいけません。契約書の電子化で知っておきたい保管方法と注意点についてご紹介します。

保存には事前申請が必要

まず契約書を電子化して保管する方法として以下の2つがあります。

1)紙の契約書をスキャンして保管する
2)電子契約書をそのままデータで保管しておく

電子契約書システムを導入してない場合、電子化して保管する方法は、1)となります。しかしこの場合は事前に所轄税務署長に承認を得る必要があり、自社の判断で始めることはできません。
申請には承認申請書やシステムの概要等を記載して添付書類が必要であり、申請は電子化での保存を開始する3か月前までに行う必要があります。詳しくは、国税庁の資料をご参照ください。
※参照:国税庁資料
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_02.pdf

しかし電子契約書を導入しておりすべてを電子化している場合、上記のような申請は必要ありません。

電子署名とタイムスタンプについて

契約書を電子化して保管する場合、電子署名とタイムスタンプが必要です。
電子署名とは対象の契約書が正式なものであり、第三者が偽造したり改ざんしたりしたものではないことを証明するものです。電子署名は「電子署名法」で定められており、電子契約書では必須となります。
タイムスタンプとは、契約書の電子データが指定した時刻に存在することを証明するものです。電子証明書と同じく、その契約書データの正当性や改ざんされていないことを証明するデータとなります。
契約書を電子化して保管する場合、上記2つの存在について知っておきましょう。

PDF・スキャナ保存

紙の契約書をスキャナで読み取りPDFで保管する場合、税務署長の申請だけではなく、以下の条件を満たした入力装置を準備する必要があります。

・解像度が200dpiであること(A4サイズの書類でおよそ387万画素相当以上を満たす)
・カラー画像で読み取れる色調であること

上記を満たす入力装置であれば、スマートフォンやデジタルカメラでも問題ありません。スキャナ保管をする場合、社内にあるスキャナが条件を満たしているか確認しておきましょう。

電子化した契約書の保存で知っておきたい法律の話

法的拘束力を持つ契約書は、電子化することで新たな法律による拘束力が発生します。電子化した契約書を取り扱う際、知っておきたい法律についてご紹介します。

電子帳簿保存法とは

1998年に施工された電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿など重要データの電子化について定めたものです。何度も法改正が行われ、2005年からスキャンした契約書の電子データの保管が認められました。
この電子帳簿保存法では、電磁的記録による保管とスキャナ保管の2つが認められています。電磁的記録ではDVDといった媒体に限らず、サーバー上に保管された電子契約書データも法的効力のあるデータとして認められています。

電子化した契約書で押さえておきたい保存のルール

・7年間納税地で契約書の電子データを保管する
・タイムスタンプが存在する
・電子契約システムを利用する場合、関係者全員が分かるようなマニュアルを備えること
・納税地や事業所で電子契約書の内容がスムーズに閲覧できる
・過去の電子契約書も検索できる

電子契約書でスマートな契約が行える

電子化した契約書の保管方法やルール、注意点についてご紹介しました。コストダウンにもつながる契約書の電子化は、多くの企業で導入が進んでいます。ペーパーレス化が推進されている今、ぜひご検討してはいかがでしょうか。

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