契約書は法的効力のある重要な文書です。それだけに、内容の修正、訂正には気を使います。では、契約書の内容に誤字脱字を見つけたとして、どのように訂正するのが正しいのか。今回は訂正印の正しい使い方と注意点、そして電子契約書ではどうすればいいのかをご説明します。

契約書での訂正印の使い方

契約書の内容を修正するには「訂正印」を使用するのが一般的ですが、とくに厳格なルールはありません。しかし、ビジネスマナーとしては基本的な使い方は知っておくと良いでしょう。

訂正印とは

訂正印とは契約書など文章の誤字脱字を修正、訂正するために使用される印鑑です。この訂正印を文章の訂正箇所に押印することで、「訂正箇所は本人が訂正しました。他人による改ざんではありません」と証明できます。
なお、訂正印として使用される印鑑は、契約書を作成した当事者または会社のものであれば基本的にどのような形状、サイズ、字体でも大丈夫です。ただし、一般的には訂正箇所の文字を潰してしまわないよう、6mm程度の小さなもの、読みやすい字体が好まれます。

訂正は二重線に印鑑

まず、契約書の誤字脱字や記載内容で修正、訂正したい箇所に二重線(2本の横線)を引きます。訂正箇所を塗りつぶすのではなく、あくまで訂正前の文字が何なのか分かることが重要です。そして、二重線を引いた箇所の上か下に、訂正後の正しい文字を記載します。
次に、訂正印を二重線に重ねるように、または訂正後の正しい文字の上や横、近くに押印すれば訂正は完了です。ただし、先ほどと同様に訂正後の文字は読める必要があるため、訂正印を訂正後の正しい文字に重ねて、塗りつぶしてしまわないよう注意しましょう。
丁寧に訂正するのなら訂正箇所の近くに「◯文字削除、◯文字追加」と訂正前後の文字数を記載しておきます。こうすると別の人が契約書を確認した際に、より信憑性が増します。

訂正印は使うべきではない

契約書の誤字脱字や記載内容を修正、訂正したいときの訂正印の使い方をご説明しましたが、ビジネスマナーとしては基本的に「訂正印は使わない」のがベストです。
なぜなら、契約書は法的に拘束力のある文書で、その内容は当事者にとってデリケートなものだからです。たった一言、内容が変わるだけでも意味が異なることもあり、当事者に不利益をもたらすことさえあります。そのため、契約書を安易に修正、訂正してしまうと相手から「改ざんされたのでは?」と不審がられる原因にもなるわけです。
では、もし契約書を修正、訂正したいときはどうするのがいいのか。契約書の締結前であれば書類そのものを作り直せば不要な誤解を生みません。契約書の締結後であれば原案はそのままに、変更したい箇所に関しての「変更の覚書」を新たに交わすのがいいでしょう。時間がないときなどどうしてもすぐに契約書を修正、訂正する必要がある場合にのみ訂正印は使います。

電子契約書での訂正の仕方と注意点

紙媒体の契約書であれば、先述したように訂正印を使用して内容の修正、訂正ができます。しかし、PDFなど電子化された契約書、電子契約書では訂正印を使用したやり方はできません。

電子契約は改ざんも破棄もできない

とくに電子契約書は「電子署名」によって、一度やり取りされた書類が改ざんされない仕組みが施されています。つまり、一度締結した契約の修正、訂正、破棄は一切できないのです。
これは契約書という重要な文書の性質上、何らかの理由で勝手に訂正、破棄されたことで一方の当事者に不利益をもたらさないためです。電子署名がされた後に、もし何らかの方法で内容が修正、訂正されると電子契約書そのものの信用力、証拠力が著しく低下してしまいます。
そのため、契約の締結後は当事者であっても訂正、破棄できません。契約書に求められる役割から考えても、改ざんされる心配がないという点で、紙の契約書よりも電子契約書の方が安心なのは確かです。

訂正するなら覚書を作成または一旦契約解除

では、もし内容を修正や訂正したいときにはどうすればいいのか。これは紙媒体の契約書と同様に、「覚書」を作成します。
覚書とは、当事者間での合意事項を書面として残したものです。世間では契約書の前段階で作成される、または契約後に補足内容を記載する文書として知られています。このように、補助的な書類というイメージの強い覚書ですが、法的効力としては契約書と同等です。
そのため、電子契約書を修正、訂正したいときには、原本はそのままに変更点についての覚書を作成すると、訂正された内容が法的に有効となります。また、内容を大幅に訂正する場合は、一旦、覚書で契約解除の合意をして、修正点を反映させた再契約をすればいいのです。

まとめ

契約書は修正、訂正したい箇所に二重線を引き、その上か下に正しい文字を記載。そして、訂正印を二重線の上に重ねるか、正しい文字の近くに押印すれば比較的簡単に訂正できます。
対して、電子契約書では締結後に内容の修正、訂正、破棄ができない仕組みが施されており、訂正印も使えません。訂正には別で「覚書」を作成する必要があり、それだけ手間ではあります。
しかし、電子契約書であればまず相手に改ざんされる心配がないですし、訂正前の原本は残るので後から比較もしやすい。紙媒体の契約書と比べてより安心できる契約方法なのです。

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