昨今、紙の契約書に代わって使われ始めている電子契約書。紙の契約書を書く上で必須とされるのが、捺印です。捺印とは契約書にハンコを押すことで契約の締結の証明とすることですが、電子契約書では捺印する必要はありません。
この記事ではなぜ電子契約書に捺印は不要なのか、その理由を紙の契約書に捺印をする理由から解説します。また、電子契約書に印影をスキャンして載せている会社もありますが、そこに潜む危険性についても説明します。

紙の契約書の捺印のメリットとデメリット

紙の契約書を作成する上で、契約の締結の証として使われる捺印。捺印は契約において必ず要ると考えられがちですが、実は捺印には法的な面で強い効力はありません。
捺印のメリットとデメリットについて解説します。

メリット:捺印は信頼性につながる

捺印することのメリットは、契約の際の信頼性を上げることです。捺印は、契約後に万が一トラブルが起こり裁判となった時に、契約を締結する意思があったかどうかを裁判所で判断する際に使われるので、信頼性を上げてくれます。
そのため、重要な契約であればあるほど、後々のトラブルを回避するためにも捺印で信頼性を上げておいた方が良いのです。

デメリット:紙面での捺印は誰でも押せる

捺印のデメリットとしては、ハンコさえ持っていれば誰でも押せるということです。手書きのサインならば、他人が真似することは難しいですが、ハンコであれば誰が押しても同じ印影が付くので、誰が押したのか、その場にいた人以外明確に知ることは出来ません。

紙面の捺印に強い効力は無い

デメリットで挙げたように、捺印はハンコを持っていれば誰でも押すことが出来ます。そのため、捺印は信頼性を上げてはくれますが、裁判ではあくまで証拠の1つとして使われるだけであり、強い法的効力があるわけではないのです。

電子契約書で捺印が不要な理由とメリット

紙の契約書では法的効力は無いとは言え、信頼性を上げる効果はあるので捺印が必要な場面は多いです。しかし、同じ契約書でも紙ではなく、電子上での契約書では捺印の必要はありません。
電子契約書に捺印の必要が無い理由と、電子契約書のメリットを解説します。

タイムスタンプで記録が確認できる

電子契約書を作成する際には、ファイル上にいつどのように追記あるいは変更などがされたかの記録が残ります。この記録をタイムスタンプと呼び、もしも勝手にファイルが書き換えられてもその証拠が残るので、ファイルの改変はとても難しいものになります。
そのため、タイムスタンプがある電子契約書では改変はほぼ不可能なのです。

電子署名法で法的効力が認められている

電子契約書へは捺印の代わりに署名を書き込みますが、2001年にその署名が法的効力を持つことが認められた「電子署名法」が施行されました。
このことから、電子契約書の署名には捺印よりも強い効果があるのです。

電子契約書の方がセキュリティ面で強固

紙の契約書に押す捺印は、もしも盗まれるなどして不正に押されたものだとしても、誰が捺印を押したのかを特定することは難しいでしょう。
しかし、電子契約書の場合はタイムスタンプがあるので、いつ電子契約書に追記があったか、改変されたかが詳しく分かります。このことから、紙の契約書の捺印よりも電子契約書の電子署名の方がセキュリティ面で強固であり、信頼性が高いと言えます。

印影をスキャンして利用するリスク

電子契約書で契約を交わす際に、まれに印影をスキャンして、捺印の画像を電子契約書に貼り付けて契約を交わすケースがあります。
しかし、この契約方法はメリットは特に無く、むしろ高いリスクがあるので避けた方が良いです。スキャンした印影を電子契約書に張り付けることで起きえるトラブルについて解説します。

印鑑、印影の偽造は容易にできる

電子契約書にスキャンした印影の画像を貼り付けると、印鑑を偽造されてしまう危険があります。最近ではスキャン機能も、3Dプリンタで物を作る技術も発達しています。印影の画像を盗まれると、そのデータから3Dプリンタによって印鑑が偽造出来てしまうのです。
確かに、印影の画像が載っていると電子契約書の見栄えは良くなります。しかし、電子署名のみであれば、印鑑の偽造のリスクが無くなります。電子契約書に印影の画像はむしろ載せない方が良いでしょう。

電子契約書は捺印が無くても信頼性が高い

紙の契約書における捺印は、信頼性を高める効果はありますが、法的な効力はありません。電子契約書では捺印はありませんが、タイムスタンプと電子署名法により、強固なセキュリティと法的な効力はあります。
そのため、電子契約書は捺印が無くても信頼性が高いのです。現在紙の契約書のみを使っているのであれば、これを機にセキュリティも信頼性もより高くなる電子契約書の導入を考えてみてはいかがでしょうか?

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