契約には有効期限があり、1ヵ月の短期間の請負契約や10年以上の基本契約など様々です。紙の契約書の場合、有効期限を記載して署名や押印によって締結した契約書を保管することで法的効力を持つことになります。電子契約の場合はどうなるのでしょうか。

今回は電子契約には有効期限があるのか、更新したい場合どのように対応すればいいのかを解説いたします。

電子契約には有効期限があるの?

電子契約に有効期限はあるのでしょうか。
電子契約を締結するためには電子署名とタイムスタンプが必要です。それぞれ詳しく解説いたします。

電子契約が普及した背景

電子契約とは、従来紙で交わしていた契約をデータでやり取りするものです。

電子契約は国際的なトレンドであり、電子署名を活用して行う流れが普及しました。日本でも独自に法整備を整え、近年導入が進んでいます。一部の部署や部門で電子契約を採用している企業が多かったのですが、年々社内全体に導入する企業が増えている現状です。

日本の法律では、紙の契約書だけでなく電子契約書で契約を締結した双方に効力が認められています。

有効期限は契約締結者の合意で決定

契約書の有効期限は契約を締結する双方の合意によって決められます。

請負契約など1ヵ月ほどで完了するものや、20~30年続く基本契約など幅広くあります。

書面で契約する場合は、合意した有効期限を記載して押印または署名をします。この契約書を保管しておけば有効期限まで裁判などで証拠として扱うことができます。

しかし電子契約の場合、電子署名とタイムスタンプに有効期限が設定されています。

電子署名とタイムスタンプ

電子契約には、電子署名とタイムスタンプが必要不可欠です。

これらには電子契約における本人性と真正性を証明する役割があります。

本人性は該当する電子文書が本人によって作成されたことを証明し、真正性は文書が改ざんされていないことを証明するものです。この2つが証明されるためには、「公開鍵暗号」と「公開鍵基盤」、「ハッシュ関数」という技術が用いられます。電子署名とタイムスタンプはこれらの技術によって有効期限が設定されます。電子署名のみの場合は1~3年、電子署名とタイムスタンプが付与されている場合は10年と定められています。期限が切れても何も措置をとらなかった場合、法的証拠力が弱くなってしまうため注意が必要です。

電子契約の有効期限を延長するには

電子契約の有効期限を延長するためには長期署名が必要です。長期署名について詳しく解説いたします。

長期署名を利用する

電子契約の有効な期間は10年と限定されていますが、そうなると契約の対象が制限されることになります。10年間を超える電子契約を締結したい場合はどうしたら良いのでしょうか。

そのような場合は、長期署名という国際規格を活用します。この規格に則った電子署名やタイムスタンプが電子契約書に付与されることによって署名を検証できる期間が延長できます。

長期署名のフォーマット

新しい暗号技術に基づいたタイムスタンプを10年ごとに付与することで有効期限が延長されます。

電子署名のことをESと呼びます。契約書と公開鍵、ハッシュ値のみで構成されるため有効期限は1~3年です。ES-Tは、ESにタイムスタンプが付与されることで有効期限が10年伸びます。

ES-Tに失効に関する必要な情報を付与し、保管用タイムスタンプを追加することでES-Aになり、その都度タイムスタンプを押すことで20年、30年と繰り返し使えるようになります。

電子契約における長期署名の標準規格

有効期限が長期にわたるES-Aという仕組みでも、将来的に真実性が証明できるわけではありません。よって国際的な標準規格が必要になります。長期署名を利用する上で必要な標準規格を解説いたします。

XAdES

XAdESはXML形式の電子署名に対応している長期署名で、様々なフォーマットのファイルに署名することができるのがメリットです。

一方で複数のファイルで構成されていることから管理するのが難しい点がデメリットとしてあげられます。

CAdES

CAdESは、CMS形式の電子署名に対応しており、XAdESと同様に様々なフォーマットのファイルに署名することができるのがメリットです。

デメリットも同じく複数ファイルで構成されているために管理するのが困難であることです。

PAdES

PAdESはPDFファイルに組み込まれた長期署名の標準規格です。PDFファイルだけで様々な電子署名やタイムスタンプ、長期署名を付与・検証することが可能なため可搬性に優れています。

動作検証済みの認証局が豊富なため、安心して使うことができます。PDF以外のフォーマットに対応できないという点がデメリットです。

まとめ

電子署名やタイムスタンプは、電子契約を締結してから通常3年ほどが有効期限ですが、長期署名を施すことによって10年、20年と延長することが可能です。

期限が切れてしまうと万が一の際に証拠としての効力が弱くなってしまうため注意が必要です。電子契約導入を検討する際には、有効期限の設定についても注目しておきましょう。

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