電子契約書導入が進む保険業界。電子化のメリットについて
保険の申し込みでは、紙の契約書を使用する機会が多いものです。その一方で、近年では電子契約書の導入が進んでいます。今回は、保険業界における契約書事情、契約書の電子化のメリットについて解説します。
保険の契約は紙の契約書が一般的
保険の契約といえば、紙の契約書に手書きをする印象が強い人も多いのではないでしょうか。実際、保険契約では現在も紙の契約書が使われる機会が少なくありません。
紙の契約書は電子契約に比べコストがかかる
保険業界では一般的である紙の契約書ですが、電子契約書と比較するとコストが高くなってしまいます。書面の印刷をはじめとして、紙の契約書で契約締結をすると、印紙税が発生する点が、コストを高くする要因です。
これに対し、電子契約書は印紙税が不要とされているため、電子契約書の導入により印紙税にかかっていたコストを大幅に削減することが可能です。
紙の契約書は契約締結までに時間がかかる
紙の契約書は、契約締結に至るまでに必要となる作業が多く発生します。契約書への記入や押印、場合によっては郵送作業など、契約に関わる双方でおこなうべき作業に時間がかかります。
電子契約書なら、ペーパーレスで進められるので書類の郵送は不要となり、パソコンやタブレットなどを使用して契約締結までスムーズに進められるので、契約締結までの時間も短縮できます。
世界的には電子契約は一般的
日本では、まだまだ紙での契約が一般的なのが現状です。しかし、海外に目を向けると電子契約が一般的となっている流れがあります。
特に欧米は日本のように印鑑を使うことがない「サイン文化」の国という背景もあるため、電子契約導入の背景も日本とは異なりますが、電子署名を導入することによって海外では電子契約がスタンダードな契約方法として利用されています。このような状況を見ると、日本の電子契約は海外に遅れを取っているといえるでしょう。
電子化が進みつつある保険契約
紙の契約書へ手書きをする機会が多い保険契約ですが、契約書の電子化も進みつつあります。
保険証券や契約約款がペーパーレス化
紙の契約書を使っての契約がまだまだ一般的な保険契約ですが、一部の保険会社ではペーパーレス化が進んでいます。
保険申し込みにかかる一連の手続きをすべてペーパーレス化しているところや、従来は紙に印刷した保険証券や契約約款を郵送していたがWebやスマートフォンアプリで確認できるよう対応しているところもあります。
また、保険証券をデジタル化してPDFでいつでも確認できるシステムを採用している保険会社もあります。このようなシステムを導入している保険会社なら、ネット回線と端末があればいつでも契約した保険内容の確認ができ、必要に応じてプリントアウトにも対応します。
すべての保険がペーパーレスに対応しているわけではありませんが、対応する保険を契約する際に利用すれば、利便性の向上に加えて紙の消費量削減につなげられる、エコな方法になるでしょう。
保険契約もWebのみで完結できる
一部の保険会社・保険種目では、保険の申し込みをペーパーレス化するだけではなく、インターネット上のみで契約に必要なすべての手続きを完結できる場合があります。
自宅でWebサイトに必要事項を入力するだけで、外へ出ることなく保険の契約が可能です。電子契約書なら保険証書もWebで確認でき、必要に応じて保険証書の控えのプリントアウトも自宅で簡単におこなえます。
サインレスまたは電子ペンに対応
保険業界で使用されている電子契約書では、電子ペンでのサインに対応していることがあります。対面での保険契約でも電子ペンで手書きのように書き込みができ、かつペーパーレス化を実現する方法として、導入が進められているといわれています。
または、サインすら不要で契約が可能なシステムを採用している保険会社もあるので、これまでの保険契約で必ずおこなわれてきたサインや押印いらずで、保険契約を締結できるシステムが徐々に普及し、今後もさらに普及が進められると考えられます。
出発直前の海外旅行保険申し込みも可能に
海外旅行保険は、必ず出発前に申し込みをする必要があります。従来の紙の契約書での保険契約では、直前の申し込みでは出発に間に合わないこともありました。
しかし、電子契約書を活用し、オンラインのみで契約を完結できる海外旅行保険も登場しました。これにより、旅行出発直前でもWebで申し込みをし、すぐに保険証書を発行できます。海外旅行へ行く人にとっては、急ぎの申し込み時などには、重宝する方法ではないでしょうか。
保険の電子契約で高まる利便性
保険の契約では、保険会社にとってはコストが高くなる、保険利用者にとってはすぐに契約締結ができないなどの問題がありました。ですが電子契約書を用いることでペーパーレス化が進み、コスト削減やスピーディーな契約締結が可能になってきました。今後、保険業界においても電子契約書はさらに普及していくでしょう。