ビジネス上で普及し始めている電子契約書ですが、何らかのトラブルが生じたときに十分な法的効力を有しているのだろうかと不安に思う人もいることでしょう。
そこで、電子契約書の法的効力について詳しく説明します。将来、多くの企業が電子契約書を利用していると予想されます。自社において、電子契約システムの導入を検討するときの参考にしてください。

書面契約書における押印の法的効力とは

ここでは、書面契約書における押印の法的効力を説明します。

正当性と真正性を証明する

契約書は、契約を締結する際に当事者同士の話し合いで決めた内容を文書に記入したものです。内容を文書に記すだけでは法的効力は十分とはいえず、押印や署名を施すことではじめて万全な効力を有する文書となります。
契約書における押印の効力は、法令上で「文書に本人の押印があれば、その契約書は真正に成立したもの」と認められています。

電子契約書における電子署名の法的効力とは

電子契約書の場合、電子署名が付与されていれば効力は十分なのかを説明します。

電子署名は押印と同等の効力がある

当然ですが、電子契約書のように電子データで作成された契約書に押印することはできません。そのため、押印の代わりに電子署名を付与します。法令上でも「電子署名がある場合は、その契約書は真正に成立したもの」とみなされ、現在のところ電子署名は押印と同等の効力が認められています。

電子契約書の法的効力について

電子契約書に電子署名が付与されていれば、法的効力があると認められています。ですが、どのような法律が根拠となっているのでしょうか。ここでは、4つの法律を紹介します。

電子契約書の法的効力の根拠となる法令

ここでは、4つの法令を詳しく説明します。これらの法令が整備されたことが、電子契約書の普及につながったといえます。

電子帳簿保存法

子帳簿保存法は、1997年7月に電子文書に関して制定された法律です。さらに、2005年3月に一部が改定され、スキャンされた電子文書に関しても制定されています。この法律では大きく以下の2点を認めています。

・国税関係帳簿書類を電子データで保管すること
・国税関係帳簿書類をスキャナで読み取り、電子データとして保管すること(文書の種類による)

この場合のスキャナは、デジカメなどは該当せず読み取り台がある機器のことを指します。
この法律により、「帳簿関係」「決算関係書類」「契約書や領収書の上記の写し」の3種類の書類を電子データで保存することが可能となったのです。

電子署名法

電子署名法は、2001年4月に電子署名に関して制定された法律です。この法律は、電子署名が押印やサインと同等の法的効力があることを認めています。
従来のように書面契約書に押印や署名があれば、その契約書は法的効力をもった文書として認められます。押印やサインがあれば、本人が契約書の内容に同意したとみなすことができるのです。
しかし、電子契約書の場合は、電子データに押印やサインを記すことができないので、代わりに電子署名を利用します。この法律により電子署名の法的効力が認められ、安心して電子契約書を利用できるのです。

IT書面一括法

IT書面一括法とは、2001年4月に電子文書に関して制定された法律です。業務のなかには、電子文書でのやり取りが認められているものも多いですが、企業から顧客へ紙文書として交付することを義務付けられているものもあります。
この法律は、これらの紙文書を電子文書に代替することを認めています。この法律の対象は、証券取引法や旅行業、訪問販売法などです。通常インターネットでのやり取りに慣れている人にとっては、非常に利便性がよくなったといえるでしょう。

e-文書法

e-文書法とは、2004年11月に電子文書での保管に関して制定された法律です。e-文書法は、商法や税法で保管が義務付けられている文書に対して、電子データでの保管も認めた法律です。最初から電子データで作成された電子契約書だけではなく、条件を満たせばコンピューターに取り込まれた文書も電子データで保管できます。
しかし、損益計算書や賃借対照表、企業決算に関わるもののなかには、依然として紙文書としての保管が義務付けられているものもあります。どのような文書が電子データで保管できるのか、しっかりと確認することが大事といえます。

電子契約書の法的効力は十分である

電子署名や電子契約書はまだ新しい技術なので、導入には不安が残る人もいるでしょう。しかし、電子契約書は十分な法的効力を有しており、問題が生じても証拠として利用可能です。
インターネットの発達や法的整備から、今後も電子契約書は確実に普及が進むと予想されます。メリットも多い電子契約システムの導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。

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