近年、ビジネス間で急速に普及し始めている電子契約書ですが、どのように作成するのかわからないという人も少なくないでしょう。取引先から電子契約書での契約締結を依頼されても、システム導入をどのように進めたらいいのか、疑問点も多いのではないでしょうか。
そこで、電子契約書の作り方やシステム導入の方法について説明します。電子契約システムの導入を検討している人は参考にしてください。

電子契約システム導入の費用効果を考える

電子契約書は、電子データで作成された契約書に電子署名とタイムスタンプを付与し、書面契約書と同等の法的効力を持たせた契約書のことをいいます。
電子契約書を導入する前に、まず導入するだけの費用効果はあるのかを検討することが大事です。多くの契約書作成が必要なければ、導入してもかえってコストがかかり、無駄になってしまいかねません。
一方、契約書を多く作成する業種であれば、印紙税の大幅な削減が見込まれ、導入する価値があるといえます。

電子契約システムを導入するための事前準備

それでは、電子契約システムを導入するために、事前にどのような準備が必要かを順に説明します。

社内の契約書内容と管理体制を把握する

まず、社内の契約書内容と管理体制の把握のために、以下の項目を精査することから始めましょう。

・契約書の種類や内容
・契約書の件数/年間
・印紙代/年間
・郵送代や人件費、書面契約書の管理コスト/年間
・契約書作成のフロー(意思決定者や権限付与まで)
・契約書管理状況
・契約書の閲覧状況

電子契約書の作り方で大事なことは、ネット上で契約書を作れるシステムをただ導入するのではなく、契約書作成の全過程を一から精査し、だれが意思決定をして誰に権限付与するのか、どのようにデータを管理・閲覧するのかなど、契約書作成に関する事務作業を根本から見直すことです。

どのようなカスタマイズが必要か把握する

上記の内容を把握した後、どのようなカスタマイズが必要か検討します。取引先の契約書に関する確認や、社内システムとの連動などを考慮しながら決めていきます。
カスタマイズの内容を決める際は、現在契約書を作成している社員や、今後電子契約書作成を管理運営する担当社員も一緒に話し合うことが大切です。
次の内容に焦点を当てながら、どのようなカスタマイズが必要か考えてみてください。カスタマイズの内容によって、依頼すべき電子契約システム会社が決まってきます。

・電子署名など利用する証明書の種類や取得方法はどのようなものが適しているか
・契約書作成から締結までの進捗状況を管理する機能はどのようなものがいいか
・どのような文書管理機能が必要か
・一括送信などの大量作業用の機能が必要かどうか
・すでに利用しているほかのシステムと連動できるかどうか
・スマホやタブレットの利用について
・英語などの言語対応について

導入する電子契約システムを決定する

カスタマイズの内容を把握できたら、自社の希望に沿ったサービスを提供しているいくつかの電子契約システム会社に相談しましょう。主な取引先がすでに利用している電子契約システム会社であれば、導入後もスムーズなやり取りが期待できます。

取引先企業と社員へ具体的に案内説明する

電子契約システムの導入を決定したら、取引先や金融機関、社員への説明は必ず行わなければなりません。
契約書は、締結した当事者双方が保管するものです。取引先や下請企業とトラブルにならないよう、事前に時間をかけて丁寧に説明することが大事です。
また、コンプライアンスの観点から、社員へは電子契約書に関する法令からシステムの使い方、移行時期などについて徹底した周知が必要です。

電子契約システムを導入するときの注意点

ここでは、電子契約システムを導入するときの注意点を説明します。契約書作成は、自社のみでなく相手先企業にも関係することなので、トラブルを未然に防ぐためにもしっかりとした対策を施しましょう。

万全なセキュリティ対策を施す

電子契約書は、電子データをクラウド上に保管するため、不正アクセスの脅威に常にさらされます。電子データは、いつでもアクセスすることができて大変便利ですが、その半面セキュリティに不安が残るので、万全な対策を施す必要があります。
自社だけでなく相手先企業の情報を守るためにも、導入する際にはセキュリティ対策に最も力を入れましょう。

電子契約書にできる契約書には限りがある

電子契約システムを導入している企業は、まだそれほど多くないのが実状です。そもそも取引先がほとんど利用していなければ、自社だけ導入しても活用することは難しいでしょう。
現状では、書面契約書と併用して活用することをおすすめします。ビジネス間では普及し始めているので、今後利用できる機会は多くなることが予想されます。

書面契約書として残すべき契約書がある

電子契約書は、書面契約書と同等の法的証拠力を持つ契約書ですが、すべての契約を電子契約書として作成・保存できるわけではありません。現在でも、いくつかの契約書は、法令により書面としての作成・保存が義務付けられています。
電子契約システムを導入する際には、自社で作成する契約書が電子契約書として作成・保存可能なのか、法的な観点から事前に確認しておきましょう。

電子契約書の作り方を把握し導入を考えよう

電子契約システムを導入するときは、導入の費用効果は充分あるのか、自社で扱う契約書は電子契約書として作成できるのかなど、事前に準備すべきことや注意点がいくつかあります。また、電子契約書は、自社と取引先企業の双方が電子データを共有することになるので、セキュリティ対策を最も優先して考えることが大切です。
コスト削減やスピーディーな契約締結など、企業のニーズにマッチした電子契約書は、今後さらに普及が進むと予想されます。電子契約システムの導入を検討する価値はあるといえるのではないでしょうか。

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