ひな形を使った電子契約書作成時の注意点&書面契約書との違いとは
スピーディーな契約締結ができることから、ビジネス間で普及が進む電子契約書。しかし、今まで使っていた書面契約書のひな形をそのまま利用できるのかと疑問が残り、電子契約システムの導入に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
そこで、電子契約書のひな形は書面契約書のそれとはどのように異なるのか、文言とレイアウトの2点について説明します。さらに、電子契約システムで文章を作成するときに留意すべき点を5つ紹介します。
電子契約書のひな形にはいくつか異なる点がありますので、導入を検討するときの参考にしてください。
電子契約書と書面契約書の違いとは
電子契約書を作成するときは、今まで利用していたひな形を修正して利用する必要があります。
電子契約書のひな形の文言について
契約書の前文には「甲と乙は、本契約書の証として、本書2通を作成し、両者記名押印のうえ、各自1通を保有するものとする」と定形文が使われています。しかし、電子契約書は、電子データ自体に「記名押印」することはできず、「保有」に関してもクラウド上での保管なので、この点に関しても修正が必要です。
このように、会社で普段利用しているひな形を土台として、文書によって必要な点を修正、または追記しながら作成すると効率が良いでしょう。
電子契約書のひな形のレイアウトについて
電子契約書は、印鑑の代わりに電子署名を利用します。しかし、文書を印刷することもあるため、印影イメージを利用することも多いです。印影イメージを利用する場合は、文末ではなく文頭に記すなど便利な電子契約システムの機能を使えるように、ひな形のレイアウトを変えましょう。
電子契約システムで文書を作るときの注意点
先述したように、電子契約書を作成するときは文言やレイアウトが異なるため、作成時には次の点に留意しましょう。
電子契約書に押印は不要
電子契約書は、電子署名とタイムスタンプが付与されることで法的な証拠力を有します。電子契約書には電子署名が利用されるので、押印は必要ありません。
本来契約書は、契約名義人が記名押印することで成立します。同様に電子契約書も、契約名義人が電子署名を付与することで、契約合意の意思を表します。会社の規模によっては、すべての契約書について契約名義人である代表取締役が手続きを行うことは現実的とはいえません。こういった場合は、誰が代表取締役の代行者となり電子署名を付与するのか、社内フローの見直しが必要です。
電子署名と印影イメージを併用
電子契約書に押印は必要ありませんが、税務調査のときなど、原本を印刷しなければならないこともあります。しかし、電子署名が付与されていても、当然のことながら押印の有無は確認できません。そのため、電子契約書には電子署名と印影イメージを併用することが多いです。
ただし、印影イメージには疑似的なものを利用することをおすすめします。電子契約書に押印は不要なので、本物の印影を使う必要はありせん。技術の発展した現代では、高精度のスキャナや3Dプリンタの利用で印鑑を偽造される恐れがあるため、擬似的な印影イメージの方が安心して利用できます。
印影イメージの場所を固定すると便利
電子契約書に印影イメージを利用する場合は、印影イメージを記す場所を文頭に固定することをおすすめします。書面契約書では文末に押印するのがならわしですが、文末に押印すると文書の内容によって押印場所が前後します。文頭に印影イメージを固定することで、文書作成の度に場所を調節する必要がなくなります。
また、電子契約システムによっては一括署名機能が備わっており、大量の文書に印影イメージを一括で記すことができ非常に便利です。
電子契約書のひな形の種類とは
利用できるひな形の種類は、電子契約システム会社によってさまざまです。多くの会社から提供されている代表的なひな形は次のとおりです。
・売買契約書
・秘密保持契約書
・業務委託基本契約書
・業務委託個別契約書
・消費貸借契約書
・発注書
・検収書
・雇用契約書
・解約合意書
電子契約システムの便利な機能
電子契約システムには、さまざまな機能が備わっています。ここでは、いくつかの機能を紹介します。多くの電子契約システム会社から続々と新機能が提供されているので、導入を検討する場合は最新の機能をチェックしましょう。
・書面契約書も一元管理(保管・検索・管理)
・一括署名機能
・ステータス管理機能
・テンプレート機能
・多言語の電子署名
・付箋機能
・電子署名フィルタリング機能
ひな形を使った電子契約書の作成を把握しよう
電子契約書でも、書面契約書のようにひな形を利用して文書を作成することができます。しかし、電子契約書の場合は、文言やレイアウトが異なることを覚えておきましょう。
電子契約システム会社は、新機能を次々とリリースしているので、導入を検討するときは機能チェックを忘れずに行いましょう。