昨今は、契約書もWordで作成することの方が圧倒的に多いでしょう。しかし、署名した後に訂正や追記するということはよくあるのではないでしょうか。仕事をする上で契約書の追記や訂正の方法は、常識として知っておく必要があります。
そこで今回は、契約書の追記や訂正の正しい方法について説明します。契約書の追記や訂正の方法を知りたい人は、この記事を参考にしてください。

契約書の追記や訂正、削除の正しいやり方

ここでは、契約書作成後の正しい追記や訂正の方法を説明します。

契約書の追記・訂正・削除について

契約書を追記・訂正・削除する場合は、間違えたところを二重線で訂正し、訂正印を押します。その際に使用するべき印鑑は、契約書に押した印鑑と同じでなければいけないので注意しましょう。
また、間違えた場合は、間違えた人だけが押すのではなく、契約者全員が押す必要があります。

契約書の追記の方法

契約書の文字を追記したいときは、以下の方法で追記します。

①追記したいところに「V」や「>」を記します。手書きで追記するので、形にこだわる必要はなく、追記する場所がしっかり把握できることが大切です。
②記号の形が開いているほうに、文字を追記します。例えば「V」の記号であれば、この記号の上に文字を記入するということです。
③契約書の追記を、当事者双方が認めていることを表すために、契約者双方の印鑑を押します。押印の場所は、追記した文字のすぐ側です。同じ行の上下どちらでも構いません。

訂正や削除の正しい方法

まず削除の方法から説明します。

①削除する文字の上に二本の線を引きます。線の本数は決まっていませんが、削除する文字が見えるように、また削除されていることが一目見てわかるように二本線が良いでしょう。
②削除したことを確認した契約者は、押印を施します。この場合も、当事者全員の押印が必要で、押印場所は削除した場所のすぐ側です。
③「削除◯字」と削除した文字数を余白に記入します。記入場所は、押印場所の側です。これで、何文字削除したかが、後から見てもすぐにわかります。

訂正は、まず削除の方法で文字を削除し、追記の方法で文字を追記することで訂正できます。この場合も当事者全員の押印が必要です。

契約書で追記するときの注意点

契約書内に追記するときの正しい方法は、上述したとおりです。ここでは、追記するときに気をつけるべき点について説明します。

追記するときに気をつけるべきこととは

数字を追記や削除する場合には、書き方に気をつけます。なぜなら、「◯字削除」「◯字加入」とすると「◯字」の前に数字を足すこともできるからです。このような時は「削除◯字」「加入◯字」と記入しましょう。
また数字の書き方ですが、通常、算用数字ではなく漢数字を用います。算用数字より漢数字のほうが書き換えが難しく、改ざん防止になります。
例えば数字の「1」ですが、簡単に「4」と書き換えることができます。漢数字であっても「一、二」は書き換えが容易なので、「壱、弐、参」などど記入します。契約書はお互いの信用が大事ですから、曖昧な表現にならないようにしっかりと正しい方法で追記や訂正を行いましょう。

電子契約書での追記について

それでは、電子契約書の場合は、どのように追記や訂正をするのでしょうか。電子契約書の利用は、今後も増えていくことが予想されるので、ここで詳しく説明します。

締結済みの書類の追記・訂正は不可能

電子契約書は、ブロックチェーンなどの最新の技術が使われるため、改ざんなどのリスクが低いことが1つのメリットです。しかし反面、当事者であっても、一度合意締結した契約書を後から追記や修正したりすることはできません。なぜなら、一度送信した契約書には電子署名が施され、契約書が改ざんされていないということを証明しているからです。

契約書の追記や訂正の覚書を作成する

電子契約書を締結した後に追記や訂正をする場合は、訂正の覚書を作成する必要があります。書面契約書のような柔軟な対応は難しいところがありますが、訂正の覚書を作成することで追記や訂正は可能です。

契約解除の覚書を作成する

契約済みの書類を削除する場合は、契約解除の覚書を作成します。契約書の場合、当事者の一方が破棄してしまうリスクが考えられ、そのような場合に契約解除の覚書を作成することで対処します。

契約書の正しい追記方法を理解しよう

契約書は、お互いの信用の上に作成されるべきもので、誤解を招くような曖昧な追記や削除、訂正にならないよう気をつけます。数字を追記する場合は、漢数字を使用するなど正しいやり方で訂正しましょう。
電子契約書において、訂正や契約解除をする場合は、覚書を作成することで対応可能です。書面契約書のような柔軟さには欠けますが、インターネット上で解決できるため文書のやり取りなどの煩雑さはありません。書類の作成から締結まで、インターネット上で完結する電子契約書の導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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