法人税や消費税、源泉所得税以外に、印紙税の調査があるのをご存知でしょうか。印紙税調査があると聞くと、過去に契約書に印紙の貼り忘れや不足がないか不安になるかもしれません。

印紙税法に違反すると、企業の信用低下にもつながるので注意が必要です。この記事では印紙税調査の注意点や時効について解説していきます。

印紙税調査とは

印紙税法で定められた課税文書に対しては、収入印紙を貼り付けすることで印紙税を納付しなくてはなりません。そしてこの納付に漏れがないかを調査するのが、印紙税調査です。

実際に印紙税調査が入ることになった場合に、慌てなくてもいいように予め所管する機関や流れをおさえておきましょう。

国税庁や税務署が管轄する

例外もありますが、原則国税庁が税務調査を行うのは資本金が50億円以上の会社です。一方、これに該当しない企業や個人事業主などは、税務署が所管します。

そこで、勤務先または経営しているのが中小企業であれば税務署が対応する可能性が高いでしょう。

印紙税調査の流れ

印紙税調査がいつくるか、緊張する方もいるかもしれません。しかし、印紙税調査は突然ではなく前もって連絡があり、実施日を調整するのが大半です。

検査当日は、関連資料の提出や課税文書の調査、担当者へのヒアリングが行われます。調査官が集中しやすいように、会議室などの一室を提供するようにしましょう。

特段問題がなければ、1~2日で調査は終了します。

印紙税の納付漏れがあった場合

故意でなくとも、業務が多忙だったり、認識不足だったり…気づかないうちに印紙貼付漏れがある可能性はあります。そのため、印紙税に納付漏れがあるとどうなるか不安になるかもしれません。

そこで、納付漏れがあった場合の処置とその例外について解説していきます。

過怠税が徴収される

印紙を貼付すべき作成者が課税文書の作成までに印紙税を納付していないことが判明した場合、納付すべき税額だけでなく、その2倍相当額も合わせて過怠税として徴収されます。つまり、印紙を納付していないと当初印紙税の3倍もの金額を納付しなくてはいけないのです。

なお、たとえ印紙が貼付けられていても、作成者やその代理人の印章や署名で消印がされていなければ、同じように過怠税が発生するので注意しましょう。



〇事前に申し出た場合

実は、この過怠税が減額される場合があります。具体的には、所轄税務署長に対し印紙税を納付していない旨の申出をするケースです。しかし、その申出が印紙税についての調査により、過怠税が課されることが予見できた場合は除かれます。

申し出が認められた場合、過怠税は印紙税額とその10%相当の金額との合計額になります。つまり、当初の印紙税額の1.1倍の納付が必要です。

印紙税にも時効がある

印紙を貼り忘れていたものには時効があります。期間は5年ですので覚えておきましょう。

印紙税調査の注意点

印紙税調査は頻繁におこなわれるものではないので、わからないことも多いはずです。しかし、冒頭で述べたように、状況によっては会社の評価、レピュテーションリスクにもつながります。

誤解から、会社に負担が生じないよう、以下の注意点も理解しておきましょう。

調査結果の説明相手は税理士ではない

「税に関わる事は必ず付き合いのある税理士に相談している」という方も多いはずです。税理士は税のプロフェッショナルなので、印紙税調査についても税理士に立ち会ってほしいと思うでしょう。

実は、税理士法第2条第1項を読むとわかるように、印紙税法は税理士業務の対象から外れています。しかし、税理士法第2条第2項によると、納税義務者の求めに応じて付随業務である財務に関する事務を指導する事は可能です。

そのため、調査担当者が認める範囲で、税理士に立ち会ってもらうことが可能です。調査が決定した段階で、顧問の税理士に事前に相談しておいてはいかがでしょうか。ここで注意が必要なのは、調査結果は税理士ではなく、必ず納税義務者に対して直接説明するという点です。

印紙税負担の過度な軽減に注意

企業において、経費削減は重要なポイントです。印紙税は高額なものも多いことから、つい省略したくなることもあるかもしれません。

しかし、印紙税負担軽減のために、故意に印紙税法で定められた該当文書にならないようにすることは避けるべきです。実際、課税事項に該当しないような文書を作成したものの、実は課税時効が残っており、不納付を指摘されている事例もあります。

経費や税負担軽減を考える際にも、必ず印紙税法上の課税事項に係る取扱いやルールを守るようにしましょう。

電子契約であれば印紙税の不安なし

ここまで解説してきたように、印紙税調査が入ると今までの文書に漏れがないか、大変気になるものです。近年、電子契約という形態も増えてきました。

国税庁の見解でも、電子契約に印紙税が課されないことが述べられているので、印紙税調査に緊張する必要もありません。日々のコスト軽減にもつながるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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