電子契約書は産業廃棄物の処理にも役立つ!?ルールを知ってしっかり処理
日々、多くの廃棄物が排出されています。廃棄物は大きく2種類に分類され、産業廃棄物の他に家庭などから出る一般廃棄物があります。
廃棄物は分類により必要な手続きや処理方法が異なるので、正しく処理を行わないと法に触れてしまうことがあります。
今回は産業廃棄物の処理に電子契約書がどのように係わっているのかについてご説明したいと思います。
産業廃棄物の基礎
産業廃棄物とは
廃棄物は大きく2種類に分かれ、事業活動で排出された廃棄物のうち法令で定められた20種類を産業廃棄物、家庭などから排出された廃棄物を一般廃棄物に区分します。たとえ事業活動に伴う排出でも20種類に含まれないものは一般廃棄物に分類されます。
産業廃棄物処理の流れ
産業廃棄物は運び出されるまで保管しますが、保管中は保管基準を守る必要があります。
収集と運搬は排出事業者が自ら行う場合は収集運搬の基準を、収集運搬業者が行う場合は委託業者が委託基準を守らなくてはなりません。
産業廃棄物は最終的に処分もしくは再生されますが、処分には中間処理と埋め立て処分があり、中間処理がある場合は再度処分もしくは再生が行われます。
処理の許可には時間がかかる
産業廃棄物処理には「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」が必要です。
マニフェストには数種類あり、これらの作成にはかなりの時間と手間がかかります。
だからといってマニフェストを適切に扱わなければ、都道府県等から措置命令や、内容によっては刑事罰を受けることもあります。手間や時間がかかるとしても決してマニフェストを疎かにすることはできません。
産業廃棄物処理なら電子マニフェストが便利!?
電子マニフェストとは
電子マニフェストは既存の紙製のマニフェストを電子データ化したもので、電子契約の扱いになるため紙製のマニフェストよりも早く処理ができるようになります。
排出、収集運搬、処分の各業者が情報処理センターを介してやり取りを行い、情報処理は公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが中核となって全国のシステム管理を行っています。
電子マニフェストのメリット
<事務処理の効率化>
電子マニフェストは操作が分かりやすく、廃棄物の処理状況を確認しやすいというメリットがあります。
<法令遵守>
電子マニフェストは法律により定められている必須項目をシステムで管理しているので入力ミスを防ぐことができます。また、廃棄物の運搬や処理終了などの報告をメールや一覧表で確認しやすいのもメリットの1つです。電子データなのでマニフェスト紛失のリスクも回避できます。
<データの透明性が増す>
電子マニフェスト情報は、情報処理センターが一括して管理・保存を行っており、セキュリティ性が確保されています。また、排出、収集運搬、処分を担当する各業者がお互いにマニフェストを閲覧できる環境下にあり、不適切な内容の登録が行えません。
電子マニフェストを導入した際の事例紹介
紙のマニフェストの場合、発行業務だけで合計3,400時間以上を費やしてしまいますが、電子マニフェストなら400時間まで短縮できることが確認されています。
単純計算でも8.5倍もの時間が紙のマニフェストには必要だったということになります。
電子マニフェストの導入手順
JWNET加入の有無
産業廃棄物の排出、収集運搬、処理の3者がJWNET(電子マニフェストシステム)に加入している必要があります。
加入状況はJWセンターのウェブサイト上で確認できますが、あくまで加入状況を公開している業者のみなので、名前が載っていなくても加入している可能性があります。加盟が確認できない場合は直接業者に問い合わせてみてください。
加入単位の検討
JWNETへの加入単位は排出事業場単位や本社、支店、営業所など任意で決めることができます。たとえば、排出量が著しく少ない場合は年に数回も処理を行いません。その場合は管理すべき範囲を再度確認するようにしましょう。
料金区分の選択
JWNETの利用料は電子マニフェストの登録件数によって3種類から最適なものを選ぶことが重要です。
<A料金>
年間基本料金は26,400円(1件あたりの登録料は11円)。
年間のマニフェスト登録数が2,401件以上あることが登録の目安になります
<B料金>
年間基本料金は1,980円(90件までは無料、91件目からは1件あたり22円)。
年間のマニフェスト登録数が2,400件以下であることが登録の目安になります。
<C料金>
年間基本料金は無料(1件あたりの登録料は22円)。
団体加入者向けとされています。
※団体加入とは排出業者が30件以上集まった場合で、代表者が料金を立て替えて一括で支払うことが要件となっています。
運用方針の決定
<渡確認票の運用>
電子マニフェストを導入した場合であっても、排出、収集運搬、処理の各業者が産業廃棄物に関する情報を共有するために必要事項を記載した用紙が必要です。この用紙を受渡確認票と呼びます。受渡確認票は電子マニフェストの補助的な役割として用いられます。
<電子マニフェストの登録>
電子マニフェストの登録には予約登録と本登録の2パターンがあります。
本登録は廃棄物を引き渡す日を除いて3日以内と定められているため、排出が分かった時点で予約登録を行い、排出をした後に本登録が行われるケースが一般的です。
<数量確定者の決定>
電子マニフェストは紙のマニフェスト同様、廃棄物の量を登録することが法律で決まっています。正確な量の確認ができない場合は、数量確定者を収集運搬業者または処分業者に設定した状態で概算の量を登録することができます。収集運搬業者または処分業者のどちらかが計測した量が確定値として管轄する自治体に報告されます。
電子マニフェスト導入説明会の実施
電子マニュフェスト導入の準備が整ったら、社内に向けて説明会を実施します。
説明会が終了したあとも、しばらくの間は正しく運用されているか、入力操作に不明点はないかなど様子を見て適宜フォローを入れていく必要があります。
まとめ
現代社会において産業廃棄物は必ず出てしまうものですが、法令を守ってしっかりと管理、処理を行うことが重要です。
電子マニフェストを使えば今までの作業時間が大幅に短縮されますので導入の検討をしてみてはどうでしょうか。